SmartRelease U「予約転送機能」に込めたもの|深夜0時のリリースから現場を解放するために
Webサイトの公開時刻を深夜0時で指定される
――Web制作、Web運用に携わる人なら、一度はこの経験があるはずです。
指定された時間に担当者が作業し、うまくいけば何も起きず、失敗すれば大事故になる。
そんな綱渡りは、長らく「その時にしかできない仕事」として現場に残り続けてきました。
「SmartRelease U」は、この課題に「予約転送機能」で応えます。
テストサイトの内容を、指定した日時に自動で公開サイトへ転送する機能です。
開発にあたっては、現役のWeb制作者・エンジニアの5名がエバンジェリストとして仕様策定やUXの検討に深く関わってきました。
今回はその5名に集まっていただき、これまで公開時間指定の案件で経験してきた”修羅場”を振り返りながら、予約転送機能の開発でこだわったこと、そしてこの機能が本当に届けたい価値について、それぞれの言葉で語っていただきました。
インタビュー登場人物

株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ CPI本部 事業企画部 東 和希(あずま ともき)氏
SmartRelease UのUI/UXデザイン、企画、プロモーションを担当。
本記事ではインタビュアーを担当。

オフィスマエカワ 代表 前川 昌幸(まえかわ まさゆき)氏 → 前川さんご紹介記事
岡山県を拠点にWeb開発・PM・EMを兼務し、多数の著書執筆やコミュニティ登壇など多方面で活動するマルチクリエイター。

CalmTech 代表 古川 勝也(こがわ まさや)氏 →古川さんご紹介記事
青森県弘前市を拠点に、システム開発の全工程から食のプロデュースまで、ITの知見を武器に多角的に活動するエンジニア。

水交デザインオフィス 代表 深沢 幸治郎(ふかざわ こうじろう)氏 →深沢さんご紹介記事
大阪を拠点に活動するUI/Webデザイナーで、日本最初期のコワーキングスペース運営やデザインシステムの構築など、多角的に組織を支えるデザインの専門家。

山川製作所 代表 山川 祐一郎(やまかわ ゆういちろう) 氏 →山川さんご紹介記事
岡山市を拠点に、Web開発から観光・特産品企画までを多角的に手がけ、技術とアイデアで地域の課題を形にする万能Webクリエイター。

株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ 広報室 室長 神森 勉(かみもり つとむ) 氏 →神森さんご紹介記事
沖縄を拠点に、インハウスデザイン部門と自社ECサイトの責任者を経て、直近は自社の広報とWebマスターを兼務し、SmartRelease Uでのサイト運用を経験。
深夜0時、午前3時。公開時間指定という“修羅場”
公開時間指定をめぐって「今思うと理不尽だった」「あの案件はきつかった」と感じたエピソードがあれば教えてください。
午前3時や5時といった「アクセスが少なそうな時間帯に公開をお願いします」ということが、何回かありましたね。
ECサイトの機能追加案件で、本来は一度止めた方が安全だとお伝えしているのですが、止めずに何とかやってほしいというところで、稼働させたままファイルだけをバッと更新する、という進め方でした。
私は年越しですね。
普通に、当たり前のようにありました。
同じクライアントさんで毎年続いていたものもありますし、十何年か前は年越しに何日か作業していたということもありました。
私は、夜中0時の切り替えで大きな更新が必要になったケースがあります。
Webメディアの更新だったのですが、こちらのテスト不足もあって、結局トラブルが起きて、サイトが動かなくなってしまったんです。
担当者さんも含めてみんなで「どうした、どうした」となって、翌朝まで必死で対応したという、あまり思い出したくない話ですね(笑)。
もう十何年も前のことです。
年度末あるあるなのですが、「年度は3月31日23時59分までなので、0時からできますか?」と聞かれることがあります。
いまだに一瞬、間があいてしまうんですけど「深夜対応の費用はいただいてないので、対応できないですね」という旨を空気を読みながらお伝えします(笑)
厄介なのは、担当者ごと切り替わってしまう場合が結構あることです。
4月1日にはもうその人がいない、物理的にいないんです。
「じゃあ誰がチェックするの?」というのは、結局こちら側なんですよね。そこから、見積もりに保守費をきちんと乗せなきゃいけないと学びました。
ただ、それを「このツールがあるのでOKです」と説明できるものがあるなら、それに越したことはありません。
単純な値変更ならcronを仕込めば回避できますが、実際はPDFなど文書系の差し替えが多くて、そこから逃れられないケースで困っていました。
今はちゃんと交渉して、時間外対応はしていない旨を伝え、どの時間帯なら反映できるかをヒアリングするようにしていますが、「できるから良い」というのが必ずしも正解ではないにせよ、選択肢として持っておきたいというのはありますね。

深夜や早朝の対応、当時は本当に大変だったことが伝わってきます。
神森さんは事業会社でサイトを運用する立場ですが、いかがでしょうか。
私は広報も兼ねているので、プレスリリースを打たなければいけないタイミングがあります。
FTPによる手動アップロードで切り替えるような仕組みだったので、本来15時に配信してメディアに出すはずが、肝心のサイト側がまだ上がっていない、上げてみても表示がうまくいかない、ということがありました。
結局サービスサイト側のリリースに合わせざるを得ず、プレスリリースが1時間半ほど遅れて、もうほとんど誰も見てくれないだろうという状況で打たざるを得なかった。
「だからFTPでのリリースは止めようよ」と、当時かなり強く思いましたね。
プレスリリースはリンクを貼って出すものなので、大元のページが上がっていなければ、何の話にもならない。
同じ会社の中で、これは何度も経験しました。
皆さん、最初からかなり生々しいお話で、最前線の現場で苦労されてきたことがよく分かりました。
こういう指定の仕方が問題視されるようになったのは最近の話だと思います。
10年ぐらい前は、山川さんが挙げてくださったような3時・5時の指定も、普通に「自分たちの稼働時間より前に終わっていないとダメ」という感覚でした。
今なら間違いなくコンプライアンス上問題になるようなことが、当たり前にまかり通っていた。
過去の愚痴というより、実際に交渉で逃れられない要件だった場合にどうするか、というのは今もクリティカルな問題としてあります。
だからこそ、予約転送のようなサービスが欲しくなるんですよね。
かつての当たり前は問題視されるようになった。
それでも時間指定の公開が避けられない場面は今も残っている。
リリース作業で欲しいのはバックアップ、リハーサル環境、そして操作ログ
では逆に、そうした苦い経験を振り返ってみて「あの時これがあったら」と思うものはありますか?
やはり、更新時の自動バックアップですね。
先ほどお話しした事故は、深夜作業で判断力が鈍っていたことに加えて、本来取っておくべきバックアップをついつい飛ばして作業してしまっていたことが原因です。
結果、トラブルが起きたときに切り戻すことが難しくなり、事態を複雑化させてしまいました。
リリース作業をする際に自動的にバックアップが取られる仕組みがあれば、あそこまでにはならなかったはずです。
リハーサルできる環境が欲しかったですね。
SmartRelease Uであれば、予約リリースの流れそのものを事前に把握できます。
それをお客様にも事前に確認してもらえるようなワークフローがあれば良かったな、と思っていました。
いわば予行演習ですね。
お二人とも、当日その場で何とかするのではなく、その前に手を打っておきたかったんですね。
神森さんと前川さんはいかがでしょうか。
予約転送というほどではないのですが、時間になったらすでに上がっている状態から、ただ切り替わるだけになっていてほしい、というのはずっと思っていました。
コーポレートサイトのリニューアルで、リリースに合わせてプライバシーポリシーも変更しなければいけないようなとき、リリースを出すのも私、ポリシーの更新でサイト全体を更新するのも私、という同時進行になってしまい、「絶対ミスが起きるな」と自分の中で分かっていました。
リリース後もOGPのチェックなどですぐに動かなければならない。
だからこそ、時間になったらサイト側が瞬時に切り替わってくれる方が、本当に助かります。
予約ができたとしても、結局その時間にはいなきゃいけない、という点は基本的に変わらないんですよね。
それよりも、作業精度を上げるという意味で予行演習が欲しかったです。
理想を言えば、ステージング環境で前日に同じ時間に一度動かしてみて、本番ではこちらに切り替える、という予行演習ができる仕組みがあれば良かったですね。
予約できたとしても、その時間にはいなければならない。
言われてみればそうですね。
古川さんはいかがでしょうか。
私は2つあります。
1つは山川さんのおっしゃるリハーサルに近いのですが、どちらかというと「最後の本当のプレビュー」ですね。
「本番はこうなりますよ」と、公開直前に見られたら、と常々思っていました。
リリースはサーバー1つ1つを見ていればいい時代はとっくに終わっていて、関連するサービスまで含めた確認が必要なほど最近のWebサイトは構成が複雑化しています。
チェックすべき範囲が今とても広いということは、あまり理解されていないと感じます。
もう1つは、リリースの操作ログです。
FTPだと単純なファイルのタイムスタンプしか残らないので、トラブルが起きて力技でどうにかした、というのも日常茶飯事です。
そうなると後から「あのとき自分は何をやったか」と振り返りたくても、覚えきれない。
責任の所在をはっきりさせたいわけではなく、再発防止のために関係者に示せるものが欲しいんです。
今後AIを使うようになると、ますます作業の流れが見えなくなっていくと思うので、自動でやったこと以外も含めて、後から振り返って説明できるような操作ログを残してほしい。
最終プレビューと操作ログ、この2つですね。
正確さが求められるリリース作業に必要だったのは、
失敗を想定した備えだった。
なぜ「FTPしか頼れない」のか? 使えないcronと信用されない予約投稿
2025年に実施したCPIユーザー向けアンケートでは、ウェブサーバーの更新・本番作業の手段として「FTPソフトでファイルアップロード」が53.3%、「CMSの管理画面から直接編集・保存」が約38%を占めていました。
Gitなどのバージョン管理・デプロイコマンド実行は、わずか5%です。

参考記事:「まだ本番環境、直接いじってるの?」Web制作のプロたちが暴く“見えない心理的コスト”と、手放せない『SmartRelease U』の真価
触れないサーバー、組めない自動化
SmartRelease Uが登場する前、cronやCMSの予約投稿など既存の手法もいろいろあったと思います。
「本当はやりたくないけれど我慢して使っていた」「本当はこうしたかったけれど諦めていた」という部分があれば教えてください。
それを言われたら、一番はFTPツールを仕方なく使い続けている、ということですね。
離れられなさすぎて、へこみます(笑)
全部自動化したり、Gitからの連携アクションを組んだりしたくても、結局クライアントさんのサーバーなので何でも自由にできるわけではありません。
むしろ触るのが怖い。
自分が管理していないサーバーのためにcronは仕込めない、GitHub連携もできない、SSHもつなげない、特定のディレクトリしか触れない、と言われると、もうFTPしかないんです。
手作業のリスクが高い状態だと説明しても、「セキュリティ上使えない」という制約はどうしてもあります。
ファイルの転送でFTPに頼らざるを得ない、というのは課題感としてありますね。
プログラムを組んで「何時になったらパッと変わる」という仕組みを作ったとしても、それをずっと置いておいて、いずれ回収しなければならない。
完成前と完成後の両方を保持しておいて切り替わるという仕組みがあれば理想的ですが、実際にそれをきっちりやろうとすると、結構な手間になってしまいます。
画像や動画については、私の場合あらかじめ先に置いてしまうことが多いです。
ただ、それを良しとしないお客様もいて、「その時間にアップしてくれ、それまであってはダメだ」という方もいらっしゃいます。
私や私のようなフリーランスの相手は中小企業や個人商店が多く、FTPしか知らないので、自動転送の仕組みもなく、結局時間になってから手作業でアップすることになり、さらにミスが出やすくなる、というところがありますね。
現場で耳にする「FTPしか知らない」「CMSの予約投稿が信用できない」という現実
皆さんのクライアントさんも、FTPしか知らないケースは多いですか?
めちゃくちゃ多いです。
同業の方でもそうですね。
制作会社さんでも、「SSHって何ですか」というのは普通にあります。
多いと思いますね。
その中でCMSの予約公開機能自体は、多くの場合とても頼りになる機能です。
ただ、私が携わっていたWebメディアの現場では、次々と新しい機能や記事の枠組みが開発されていて、テンプレートや仕組み自体を変えたり追加したりする局面になると、いわゆる記事の予約投稿機能は役に立たなくなってしまいます。
結局、そこはFTPで時間管理を人力でやらざるを得なかった、というのが十数年前の状況でした。
私はCMSの予約投稿を使っていないんです。
プレスリリースも前日に仕込んでおくのですが、実は下書きのまま置いておいて、当日その時間になってから手動で公開する、ということをやっています。
予約投稿がどうも信用できなくて、CMS側をあまり信じていないんでしょうね(笑)
特にCMSの予約公開は怖くて使えていません。
CMSの予約公開機能があっても使えない、使わない状況があるんですね。
前川さんはいかがでしょうか。
アプリケーション型のCMSの場合、時間予約と言ってもトリガーが想定通りに動かないことがありますよね。
サーバーのバックエンド側でcronを回すようなことができればいいのですが、レンタルサーバーなどのWebアプリケーションではそこまでの権限を持てないケースが多いです。
結局ユーザーのアクセスなど何らかのプログラムが動いたタイミングでトリガーが発生する仕組みなので、時間通りに動いてくれないことがあります。
前職で運用していたメディアでも予約投稿は使っていましたが、「時間通りには出ない」という前提でやっていました。
個人的に厄介だと思うのは、「予約撤収」も欲しいときがある、ということですね。
ゴミを残しておけないので削除や停止も考えなければならないのですが、サーバーの権限が潤沢に渡されていなかったりすると、それを誰かにやってもらう必要が出てきます。
時間の役目が終わったら消えてほしい、無効化してほしい、というニーズもあります。
cronもCMSの予約投稿も、権限と信頼の壁に阻まれ、
結局FTPの手作業に戻ってしまう。
異常系から設計する。「予約転送機能」でこだわったこと
正常系より時間をかけた「異常系」の議論

今回、エバンジェリストの皆さんには予約転送機能の仕様やUXの検討に深く関わっていただきました。
特にこだわった点や、開発側に強く要望した点があれば教えてください。
予約転送そのものよりも、「安心・安全なソフトウェアでありたい」という思いから、もし予約転送が失敗した場合に、どのように皆さんへお知らせし、リカバーしていただきやすい状況を作るか、というところにこだわりました。
いわゆる異常系ですね。
文言一つ、インターフェース一つに至るまで、正常系よりもずっと時間をかけて議論しながら作ってきたと思います。
この機能自体は「あったら嬉しい、素晴らしい」というものです。
だからこそ、この機能を信用することがかえって大事故につながってしまうこともある。
発生し得るトラブルをどう異常系として表現するか全員で話し合いながらこだわって作った、というのはとても大きいところだと思います。
私自身がこだわったというよりは、きちんとバックアップを取った状態で予約投稿できるようにする、本来の強みを省かない、というところをチームとして貫けたのは良かったと思っています。
正直、場合によっては「そこは省いてもいいかも」と一瞬考えたこともありましたが、それでもぶらさなかったのは、後から振り返るといい仕事だったんじゃないかなと思いました。
変更はいつまで受け付けるか、手順はどう並べるか
予約したあと、何時まで変更していいか、という締め切りの設計ですね。
デッドラインを何時間に設定するか、という議論をしたのが、個人的にはすごく印象に残っています。
私は、予約してしまった後に修正が入ったらどうするか、という「待機時間」の問題への気づきですね。
私自身はもともと、とにかく時間指定をすればいい、ぐらいの感覚だったのですが、実際に自分も普段サイトを運用しているので、直前になって変更を言ってくる人がいることも分かっていました。
予約はしたけれど、そこから何も動かせないままではまずい。
あの議論は自分にとっても気づきでしたし、皆さんからいい提案をいただけたのは本当にありがたかったです。
予約したあとにいつまで時間変更を受け付けるかは相当議論しましたね。
古川さんはいかがでしょうか。
私はこだわったというより、「見失わないようにし続けていた」という感覚の方が近いです。
例外に対してエラーメッセージが出たときに「このメッセージは分かりにくくないか」「この後どんな行動を起こせばいいのか」といった、思考の流れがずれないようにする、というところをずっと意識していました。
プログラマー寄りにも、Web制作寄りにもしすぎず、リリース作業の経験が少ない人が初めて触れたときでも意味が分かるように、という感覚をずっと保とうとしていた記憶があります。

ちなみに「時間指定を最初に持ってくる」というこのフローは、山川さんの一言がきっかけで大きく変わりましたね。
自分としては、そんなに大きなことを言ったつもりはなかったのですが、確かに「予約投稿なのだから、時間指定が先に来るべきじゃないか」という話はしましたね。
予約転送機能は正常系ではなく異常系にこそ、
最も時間をかけて設計された。
プロが語る!予約転送機能の“本当の価値”
皆さんそれぞれにとって、予約転送機能が持つ「本当の価値」とは何だと思いますか。
当日やることが減り、失敗しても戻せる
これまでのWeb更新・リリース作業には、「その時にこれだけのことをやらなければいけない」という作業が必ずありました。
予約転送機能によって、その作業を別の時間にあらかじめ済ませておいて、8割9割を事前に終わらせ、当日はチェックするだけの状態まで持っていける。
この安心感は大きいですし、そこが価値だと思いますね。
ミスを減らせるところが、やっぱり一番かなと思います。
通常のSmartRelease Uの転送も、もともとミスを減らす方向で設計・提供されているものですが、その仕組みを日時指定によって拡張できる。
FTPで1つ1つファイルを手であげていたことを考えると、まずミスがなくなる。
加えて、予行演習によってワークフローを事前に確認できることでさらにミスを減らせますし、万が一ミスが起きたとしてもロールバックができる。
ミスを未然に防ぎ、起きたとしても戻せる体制が整っているところが、この機能の売りだと思います。
リリースは、実行した1人の責任ではなくなる
お二人がおっしゃった部分のまとめのようになりますが、リリースという言葉の中にある手順があまりに複雑すぎたものを、まず圧縮した、というのが1つの価値だと思います。
山川さんのおっしゃるミスの減少は、作業手順が可視化され定型化されたことで自動化できるようになった結果ですが、加えて今回は「リリースしました」「リリースできませんでした」という通知の仕組みや、誰が何をしたかという操作ログが残るようになっている。
リリースをした人にとって、これまでリリースは孤独な作業で、実行した人だけの責任のように思われがちでした。
でも本来は、プロジェクトとしての責任であり、チームとしての、会社としての責任のはずです。
それを関係者にきちんと分かるようにする、という通知の部分は、チームで制作するのが当たり前になっている今、コミュニケーションコストまで考えられているという意味で、今回の予約転送の価値の1つだと考えています。
一般的な会社のWebマスターやWeb担当者、特に中小事業者では、「ちょっとネットに詳しいから」というだけの理由でアサインされることがほとんどです。
彼らはほぼ、責任重大なWebサイトの責任を丸ごと任されてしまい、相当なストレスの中で運用しています。
制作会社の協力を得ながらやっている人もいれば、本当に孤独にやっている人もいる。
そういう状況を、プロジェクトとして巻き込み、「会社全体のものなんだ」とすることで、責任を1人に押し付けない状況を作れることが、私はすごく大事だと思っています。
社内でしっかり準備・通知・調整をした上で、最終的にリリースのタイミングになったら実行される――その仕組みが、中小事業者のWeb担当者が抱える「胃の痛さ」を、少しでも軽くできるツールなのではないかと思っています。
事前に設定して帰れる、という選択肢
予約公開というと「日時を決める」ことだと思われがちですが、それだけではなくて、週末に作業を終えて、月曜0時の公開なら金曜に設定して帰ってしまえばいい。
そういう意味で、公開作業における「最後の一手間」の選択肢が増えた、という捉え方もできると思います。
SmartRelease Uでその場で即時公開するのも、作業や確認が終わった流れの延長線上として当然ありですし、明日でいいなら何時と厳密に決まっていなくてもいい。
作り手さんや担当者にとって、選択肢が1つ増えていることそのものに価値があるのかな、と思っています。
価値は「日時を決められること」ではない。
ミスを減らし、リリースの責任を1人から解き放つことにある。
この機能を、誰に届けたいか
最後に、予約転送機能やSmartRelease Uの価値を「真っ先に届けたい」と思う相手がいれば教えてください。
どんな立場・状況の方かも合わせて伺えればと思います。
担当が入れ替わっていく現場へ
私は最初、皮肉っぽく担当変わりの大変さを話しましたが、時間軸で自分の席が変わっていくような人たちにこそ使ってほしいです。
「自分がいなくなっても大丈夫」というのが、一番いいなと思っています。
予約もきちんとされているし、画面にアクセスすれば何をすればいいかUIで表現されているので、引き継ぎマニュアルがなくても分かるはずです。
所詮、口伝でやったことはあてにならないし、痛い目を見てから学ぶというのは良くない。
前任者が最後にやってくれたことがきちんと動いている、という安心感で使い続けられ、きちんと引き渡していける。
最後までやりたかったけれど今年度でできなくなる、というようなケースもありますから、そういう立場の人にこそ使ってほしいと、改めて思いました。
制作会社のディレクターと、組織で使う現場へ
クライアントの方はもちろん、取引先である制作会社のディレクターの方にも、ぜひ活用していただきたいと考えています。
こうした進め方を知っているかどうかで、案件の進行しやすさも大きく変わってくるのではないでしょうか。
現在は本番サイトのローンチまで、かなりの部分をお任せいただくケースが多く、本番環境への設置に立ち会っていただく機会もほとんどありません。
場合によっては、制作を受けた側で対応いただけるとよりスムーズなのでは、と感じる場面もあります。
だからこそ、本当にチームで制作を進めるのであれば、チーム全体で使えるプラットフォームを活用することが、より良い進行につながると考えています。
実際に「この方に使っていただきたい」と思い浮かべているペルソナがあり、その方の目線を意識しながら、これまでさまざまな意見をお伝えしてきました。
その方に活用いただけたら、私自身ももう少し円滑に進められるかもしれません(笑)
私がずっと考えていたのは、ファイルをバージョン管理するような仕組みに、いまだに「荷が重い」と感じている方に、ぜひ体験してもらいたいということです。
FTPの延長線上の知識で扱える形で、履歴を管理しながらチームで誰が何をしたかを連携できるツールができたので、そういった方――たとえば制作会社さんであれば、組織として導入していただくと、よりメリットも出てくると思います。
主に制作会社の方々を想定して、いろいろ作らせてもらい、アドバイスをしてきました。
一口に「公開作業」と言っても、ファイルの転送だけで無く確認やファイル転送以外の操作や関連作業も一括して担当する方も多いと思います。
その中で手数やマインドシェアの多くを占める公開作業のタイミングを前に持ってこられることのメリットはあると思いますので、そういった実務担当者の方々に届いて欲しいですね。
日々奮闘しているWebマスターへ
さっきもお話ししたように、日々奮闘しているWebマスターの方々に届けたいですね。
彼らの仕事を少しでも楽にしたい。
リリースの際にはいろいろなことをやらなければいけませんが、それを1つのパッケージの中で同時にやってもらえるツールはそうそうありません。
実際、ボタンを押すだけでリリースが済むという気持ちの楽さは何にも代えがたいです。
もう1つは、制作会社から事業会社に夢を見て転職してきた、いわゆるディレクター上がり・制作者上がりのWebマスターです。
彼らも、事業会社のWebマスターがどれだけやることが多いか、実際に入ってから初めて知るはずです。
あちこちから「あれをしろ」「これをしろ」という指示がしょっちゅう来る中で、思っていたようなWebサイト運用はできない。
それでも責任はその部門にある。
そういったところを少しでも軽減できるという意味で、Webマスターの皆さんにとってのツールになってくれたらと思っています。
ありがとうございました。
制作会社のディレクターから、事業会社のWebマスターまで。
その人がいなくなると止まってしまう現場でこそ、SmartRelease Uは価値を発揮する。
編集後記
今回の対談で繰り返し出てきたのは、「予約できること」そのものへの喜びではありませんでした。
深夜0時や午前3時という指定は、交渉で避けられる場面が増えた一方で、年度切り替わりのようにどうしても逃れられないケースが今も残っています。
クライアントが管理しているサーバーにcronは仕込めず、CMSの予約投稿はトリガーが読めない。
だから最後はFTPの手作業に戻る――その構造は、十数年たっても大きく変わっていませんでした。
そして皆さんが「本当の価値」として挙げたのは、時間指定ではなく、ミスを減らせること、失敗しても戻せること、誰が何をしたかが残ること、そしてリリースの責任が1人に集中しない状態をつくれることでした。
リリースは、まだ多くの現場で孤独な作業のままです。
もし心当たりがあるなら、フリープランでテストサーバーを1つ立てて、予約転送の予行演習だけでも試してみてください。
深夜に画面の前で待つ必要が、本当にあるのかどうかを確かめられます。
